K邸

　石嶋設計室在籍時に担当。
　茨城県つくばみらい市に立つ2階建ての木造住宅。
　敷地は施主の所有する約 4,000 m²程度の土地から 700 m²程度住宅用に土地を分筆したものである。従って周辺が都心にある戸建住宅が置かれているような建物が密集した状況ではなかったため、日照、法規等の最低限の与条件と施主のパーソナリティを純粋に反映させた計画となった。
　この住宅の大きな特徴は、一つ一つの空間、及び建築の各部位を通常の住宅のスケールよりも大きくしていることである。 例えば、廊下の幅を通常は壁芯寸法を910mmとするところを、今回 の計画では1365mmとし、サッシュの開口幅や建具枠の見付寸法もそのスケール感に合わせて、通常よりも大きくした。
　又、外観においても建物中央部の二層吹き抜けの玄関ホールを二つの大きなボリュームが挟むような構成となっており、サッシュ、玄関 ドア、勾配屋根等一つ一つの部位が大きいこともあってか、住宅らしくなく、どこかで何かが抜けているような不思議な様相を程することになった。
　内部の構成は、一階は LDK、ホビースペース、ゲストスペース兼 書道用の和室が配置され、2階においては二つの洋室及び WIC がそれぞれ左右のボリュームに配置されている。
　そんな状況にあって、玄関ホールに設置された吹き抜けに面する両開きの木窓は、常に誰かがそこから呼びかけてくれるかもしれないという可能性があることで、人間の気配とヒューマンな感覚を与えている。